村田峰紀「背中で語ろう」& off-Nibroll「ダンスで時計」「いつもの時間」

 木曜日はアーツ前橋で開催された村田峰紀さんのワークショップ「背中で語ろう」を見学させてもらいました。エレベーターで地下に降りると、シートで養生されたフロアの上で20人ほどの子どもたちが走り回ったり歓声を上げたりしていて、開始前からテンションが上がっている様子。参加者の中には親戚の子や5月に桐生でやった石坂亥士さんのワークショップに参加した子もいて、個人的にはそういう知ってる子どもの顔もあって気持ちが和みました。
 
 ワークショップの最初はみんなで大きな円になって座って、隣りの人の背中を触ったりのアクティビティ。進行は5〜6名の群大の学生さんが担当。それが終わるとそれまでみんなの円のうしろで静かに待機していた村田さんが登場。簡単な自己紹介をしただけで、30センチほどの高さの台の上に上がり、子どもたちに背を向けて、自分の着ている白いシャツの背中にクレヨンで描きはじめました。子どもたちも学生さんに促されて、自分の白いTシャツの背中に村田さんを真似ながらクレヨンで描きはじめました。モゾモゾ、ゴソゴソ、グリグリ、、、子どもたちもそれぞれのやり方でカラフルな線がTシャツに描かれ、だんだんとその線が重なっていきます。
 
 およそ15分くらいだったでしょうか、村田さんは一度も子どもたちがいる後ろを振り返らずに、上半身を左右に揺らしながらひたすら線を描き続けます。村田さんのパフォーマンスを生でみるのは初めてだったんですけど、ミニマルな同じ動きを繰り返すだけなのに、背が高くてワイルドな風貌の村田さんの身体の動きはとってもダンスしていて、普通のダンサーには表現できないその個性的な存在感は、みていて引きつけられました。聞くところによるとシャツにクレヨンで描くこのパフォーマンスを最長で8時間も続けたことがあったとか。いやはや恐るべき集中力というか、どうしてそんなに長い時間ひとつのことに執着してやり続けることができるんでしょう。心身の状態がランナーズハイみたいになっちゃうのかな。
 
 8月31日にはアーツ前橋でダンサーの鈴木ユキオさんと村田さん2組によるソロパフォーマンス公演が予定されています。村田さんも鈴木さんも自身の身体に向き合う、その姿勢は似ているところがあるような気がします。さてさてどんなパフォーマンスになるのでしょう。こちらも楽しみです。
 
 その前に、今日からoff-Nibrollの矢内原さんと高橋さんによる「ダンスで時計」のワークショップと撮影、それから8月3日の公演に向けてのリハーサルが始まりました。わたしも参加しております。矢内原さんとは、確か2003年にわたしがSTスポット横浜のショーケース公演に出演したときに矢内原さんがみにきていて、終演後に少しお話をしたのが、最初です。あれから10年、まさかわたしが矢内原さんの作品に出演するとは(それも前橋で)。他の振付家さんの作品に関わるのもだいぶ久しぶりのことなので、今日はいい緊張感でリハーサルに取り組みました。さてさてこちらのほうはどんな作品に仕上がるのか、あと一週間体力を維持しつつチャレンジします。