アーツなカフェ

土曜に開催された「アーツなカフェ」に参加してきました。

http://www.artsmaebashi.jp/?p=1546

ツイッターとフェイスブックに短いコメントを投稿したんですけど、こちらで少し補足で書き足しますね。

 

 新井隆人さんもご自身のブログ(http://ppgunma.blog.fc2.com/blog-date-20130519.html)で書いてらっしゃいますが、議論を深める前に時間切れになってしまったのが残念でした。次回はプレオープンしてるアーツ前橋を会場にとことん4、5時間やっちゃってほしいです。 

 

 幼児のパフォーマンスに関してわたしの演出意図をもう少し説明させてもらいます。昨年秋の前橋まつりで幼児がだんべえ踊りを踊るのをみて、子どもたちが楽しそうに踊ってなくて、どの子も無表情でなんか義務感で踊らされてような感じがしてしまいました。各園ごとに2列になって7分程度の曲をぶっ通しで踊ったら、観にきている親御さんに配慮してか、小休止後に前後の列が入れ替わってもう1回踊るんです。子どもたちは身体こそ動かしているけれど、音質の悪いスピーカーから流れる大音量の音楽にあおられているかのように、ただ惰性で動いているようにしか見えなくて、悲しい気分になってしまいました。子どもが踊るダンスが前橋まつりのただのにぎやかしに使われているだけのようで残念でなりませんでした。

 

 そんな思いをしたことがあったので、そういうものと対極なものをやるべき使命感をもって今回は臨みました。練習を積み重ねることは大事なことですが、やってる本人が楽しくなければ、子どもにとってはそれをやることに意味を見いだせないのではないでしょうか。幼児期に何を学ぶべきか?は議論の余地がありますが、子どもの発達状況や興味関心を考慮しない早期教育にはわたしは反対の立場です。

 

 それから、街とつながるアーツ前橋というイメージを具現化するために、地下のギャラリースペースを街に見立てるという演出意図もあったので、あえてただ遊んでるだけのような状況をつくったというのはあります。ただ、子どもたちの周りには大勢の観客がいたわけですから、あきらかに公園や街中で遊ぶときとは違う環境にいたわけで、子どもたちは観られてることを意識せざるをえず、そういう意味では子どもたちの心の中には普段の日常生活とは異なる緊張感や意識を持ちながら動き回っていたと思います。なので、初日は恥ずかしがって柱の影にずっと隠れてしまった子もいましたし、子どもたちのパフォーマンスは全体的にレロレロでやりきれてない感で終わってしまったところもありました。でも2日目は子どもたちが自分の意思でめちゃくちゃ自由に動き回っていて、その姿にわたしもその場にいながら今起こっていることが信じられないくらいビンビンと心身に響いてきました。

 

 日本食は素材で勝負するところがあると思います。「子ども」というこんなにいい素材を活かしておいしい料理に仕立て上げるのは、我々おとなの義務であり使命です。誰でもが一流の料理人にはなれないにしても、例えばおかあさん(おとうさんも!)が心を込めて作った手作りのおべんとうは子どもにとってはすごいごちそうなはずです。直接子育てに関わらないとしても、子どもへの優しいまなざしはちゃんと本人に伝わるのではないでしょうか。アーツ前橋だって10月のグランドオープンを誕生日だとすれば、まだ妊娠5ヶ月の胎児なのです。生まれる前からあーだこーだ言い過ぎるのは胎教にもよくないでしょう。生まれたらみんなで育てる。それをわたしはとても楽しみにしています。